2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20840047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤岡 宏之 Kyoto University, 理学研究科, 助教 (30513395)
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Keywords | K中間子 / K中間子原子核 / ストレンジネス / J-PARC |
Research Abstract |
大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて予定されているK中間子原子核探索実験では、1.0GeV/cの負K中間子を液体ヘリウム3標的に照射し、前方に放出される中性子を検出することにより、理論的に存在が予想されているK中間子原子核K^-ppの存否について明らかにすることを目指している。もし(K^-,n)反応と(K^-,p)反応の2種類のデータを同時に取得することができれば、両者のmissing-massスペクトルの比較が可能となり、KN相互作用のアイソスピン依存性に関する情報を引き出せると期待される。本研究では、前方に放出される陽子の検出器を建設することを目標とし、その中で他の荷電粒子との粒子識別を行うための検出器を製作する予定である。様々な可能性を考察した結果、ガラスを輻射体とする全反射型のチェレンコフ検出器が候補となりうることが判明した。理想的には、バックグラウンドのK中間子やπ中間子は速度が速いためにチェレンコフ光が全反射を繰り返して光電子増倍管に到達するのに対し、運動量1.4GeV/c以下の陽子については全反射条件を満たさないために検出器が応答しない。高い粒子識別能力を持つ検出器を製作することができれば、トリガー段階でバックグラウンドを大幅に取り除き、興味のある(K^-,p)反応の事象を効率よく取得できると考えられる。これまでに、シミュレーションを用いた検出器の形状の評価を行った後に、全面光学研磨されたガラスと光電子増倍管を購入しプロトタイプの検出器を製作した。また宇宙線を用いた実験室でのテストにより、十分速度の速い粒子が通過したときにはほぼ期待通りに高効率で検出器が応答することが分かった。
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Research Products
(1 results)