2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20840047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤岡 宏之 Kyoto University, 理学研究科, 助教 (30513395)
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Keywords | K中間子 / K中間子原子核 / ストレンジネス / J-PARC |
Research Abstract |
大強度陽子加速器施設J-PARCにおいてK中間子原子核の探索実験が予定されている。負K中間子ビームを液体ヘリウム3標的に照射した時に前方に放出される中性子を測定することにより、理論的に存在が予想されているK中間子原子核K^-ppの探索を行うものである。この実験において、中性子の代わりに陽子を前方に放出する事象を調べることで、反応のアイソスピン依存性に関する情報を引き出すことができると考えられる。 本研究では、ビームが反応せずに通り抜けた事象と陽子が散乱された事象を識別することを目的とする陽子検出器の製作を行った。前年度に引き続き、ガラスを用いた全反射型のチェレンコフ検出器を用いる可能性を検討した。具体的には、ビームのK中間子やその崩壊粒子であるπ中間子の場合と測定したい陽子の場合において、粒子の速度の違いによりガラス中でのチェレンコフ光の放出角度が異なる。また適切な屈折率のガラスを選ぶことで、ガラス表面での全反射条件は後者の場合においてのみ満たされるようにする。 このような条件を満たすガラスとしてホウケイ酸ガラスBK7を用いたプロトタイプの検出器を製作し、宇宙線や東北大学電子光理学研究センターにおける電子線を用いた測定により、入射位置依存性や入射角度依存性について調べ、実験結果はシミュレーションによる予想と矛盾しないことが分かった。またチェレンコフ光の光子数は波長に反比例するため紫外領域のチェレンコフ光を検出することができれば、より多くのチェレンコフ光が光電子増倍管に届くと期待される。紫外線を透過しないBK7に代わり、220nm以上で高い透過率を持つガラスについても検討を行い、光電子増倍管で検出された光電子数が増加することを確認した。 これらの結果をシミュレーションに反映させ、実際の実験条件下においてオンラインでの粒子識別能力に関する要求を満たすことを確認した。
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Research Products
(2 results)