2009 Fiscal Year Annual Research Report
配位結合と水素結合の共同作用による分子集合体の構造制御
Project/Area Number |
20850003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桑原 純平 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (70466655)
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Keywords | 配位結合 / 水素結合 / りん光発光 / DNA / ゲル |
Research Abstract |
本研究では,配位結合や水素結合等の非共有性結合の共同効果によって分子集合体を構築することを目的とした.まず,DNAの構成要素であるチミジンに配位可能部位を導入し,これを用いてオリゴマー状Pd錯体を合成した.さらに,得られた錯体のチミジン部位の水素結合によるDNAとの相互作用について検討を行った.配位部分の構造を調節することで,オリゴマー状Pd錯体の位置規則性を5'から3'へと揃えることに成功した.さらに,配位部位をピリジンからカルボキシレートへと変更することで結合を強化し,外部から加えたアニオンなどの存在下でも主鎖が切れにくい構造となることを見出した.さらに,溶媒の極性に応じてオリゴマーの分子量が変化することをDOSY NMRなどの手法を用いて明らかにし,可逆な配位結合によって形成された分子ならではの特性を見出している.さらに,天然のDNAとの相互作用をUV/Visスペクトルによって評価したところ,DNAの二重らせん形成の時に見られる淡色効果が観測されたことから,期待したようなPd錯体とDNAの複合体が形成していることを確かめることができた.また,NCN型発光性ピンサー錯体にアミド基を導入することで,錯体間での水素結合を駆動力とした分子集合体の構築についても検討を行った.Suzuki-Miyauraカップリング反応を鍵として配位子合成を行い,さらにPt部位を導入することで目的の錯体を得た.まず温度可変NMRやスペクトルの濃度依存性を調べることで,分子間の相互作用について評価した.さらに,これらの錯体の希薄溶液状態と固体状態の発光スペクトルや量子収率を比較することで,水素結合によって形成する分子集合体の構造と発光挙動の相関について評価した.上記のように,配位結合に加えて水素結合が有効に作用するような分子設計によって,新しい分子集合体が形成可能であることを見出した.
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Research Products
(8 results)