2008 Fiscal Year Annual Research Report
放電後混合型スリットノズルによる不安定分子の生成と高感度検出
Project/Area Number |
20850006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須磨 航介 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (10506728)
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Keywords | 高感度分光 / 放電後混合型ノズル / ラジカル / ラジカル錯体 |
Research Abstract |
本年度の研究ではCRDS分光器の立ち上げに先立ちレーザー誘起蛍光法(LIF)用の分光器の立ち上げとパルス放電システムの開発を行った。パルス放常用回路などの必要な電子回路、測定用のプログラムなどをほぼ全てを自作し、安価で柔軟性に富む分光器を作成できた。現在は本装置を用いて試行的な実験を行っている。CRDSの基本的な設計も終え、これに必要な光学部品も揃いつつあり、CRDS、LIFどちらでの実験も可能な実験装置が完成しつつある。超音速分子線の生成に用いる排気用のポンプには良く用いられる油拡散ポンプやターボ分子ポンプではなく、排気速度の大きい大型のメカニカルブースターポンプを用い、大量の試料ガスの噴射が可能になるよう工夫した。このことは特にCRDSで感度の著しい向上をもたらすと期待している。分光器の光源はYAG励起の色素レーザー、さらに倍波結晶を用いることで可視から紫外領域までの分光が可能である。波長較正にはヨウ素の吸収スペクトルを用いた。 本年度は装置の作成に殆どの時間を費やしたため、スペクトルの観測、解析には至っていないが、必要な装置はほぼ揃え試験的な実験は終えつつある。来年度以降の研究では本装置を用い新規ラジカル、ラジカル錯体の検出を行う予定である。 この他遠藤研究室との共同研究により炭酸(H2CO3)の検出に成功した。炭酸は生体内などのあらゆる化学で重要な役割を果たす基礎的な分子であるが、本研究により初めて気相での存在が確認ざれ、分子構造など基礎的な情報が明らかになった。
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