2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20850008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村瀬 隆史 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (70508184)
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Keywords | 自己組織化 / 配位結合 / π共役系分子 / フォールディング / ナノ空間 |
Research Abstract |
本研究は、自己組織化により形成される錯体空間を活用して、分子の性質・構造を変化させることにより、配位孤立空間の新たな化学を展開することを目的とした。以下、各項目の研究において得られた成果を記載する。 (1)自己組織化空間における芳香環の電荷移動集積 アクセプター性配位子1、ピラー状配位子2、シス位を保護したパラジウム錯体3(2:3:6の比率)を過剰のピレン(4)存在下、水中で混合することで、ピレンの2重集積体6⊃(4)_2が構築する。今回、ゲストとして、ドナー性の4とアクセプター性のナフタレンジイミド5を用いることで、4と5のヘテロ集積体6⊃(4・5)を構築した。このとき、4と5の対は、アクセプター性配位子1に挟み込まれる形で包接されている。このように、芳香族分子のスタッキングを非対称な配列にすることに成功した。実際に、UV-visスペクトルにおいて、6⊃(4・5)は6⊃(4)_2と異なるCT遷移の吸収を示した。さらに、ヘテロ分子間に働く相互作用を利用して、一度集積したゲストの差し替えを行った。6⊃(4)_2の水溶液に過剰の5を加えて室温で撹件すると、1分子の4が5に差し替わった。 (2)自己組織化空間内での分子フォールディング 有機ピラー型かご状錯体6を、芳香族分子を導入したひも状ゲスト分子で、非共有結合的に連結することを試みた。まず、片側にピレンを導入したひも状分子7の包接挙動を調べた。7の側鎖が長くなるにつれ、ゲストの回転運動が制御され、錯体6が非対称化した。次に両末端にピレンを導入したひも状分子8を錯体1に包接させた。H^^1 NMRスペクトル上で、6⊃8のピレン部位に由来するピークは、大きく高磁場シフトするグループAと、小さく高磁場シフトするグループBに分かれた。これより8は、錯体6のパネル部位を挟み込んだフォールディング構造を形成していると考えられる。
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Research Products
(3 results)