2008 Fiscal Year Annual Research Report
配位子交換を基本動作とする光応答型分子回転素子の開発
Project/Area Number |
20850010
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇部 仁士 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (00512138)
|
Keywords | 錯体化学 / 光化学 / 配位子交換 / トリプチセン / 分子機械 |
Research Abstract |
本研究では回転素子としてトリプチセン骨格に着目し、配位部位として窒素原子を導入したアザトリプチセン骨格を有する配位子を用い、光応答性分子回転素子の開発を目指している。 今年度はモノアザトリプチセン骨格を有する回転素子の開発、並びにジアザ、トリアザトリプチセンの合成法の開発について検討を行った。モノアザトリプチセン骨格を有する回転素子では、1-アザトリプチセンと1-アザアントラセンとをアルキンで架橋した配位子について合成法を確立した。より複雑な回転素子の運動解析を行うにあたり、この単座型の配位子での解析は重要な知見を与える。トリプチセンと対をなす配位部位はピリジン類の他にアミンやアゾール等、多様な置換基を導入でき、新規な配位子への展開が可能な合成法である。合成した配位子に対し、種々の金属との錯形成と、錯形成前後での回転挙動の、更には実際に光を照射した際の挙動について検討を行っている。 また、トリプチセンに窒素原子を2ないし3導入した、ジアザ、トリアザトリプチセンについて合成法を検討した。これらを配位子として用いることで、回転方向の制御等、新たな機能の発現が期待される。これまでに知られている1,1'-ジアザトリプチセンの合成法では2位への置換基の導入が必須であったが、これらは1位の窒素原子への金属の配位が阻害される。今回トリプチセン3位4位へ適切な官能基を導入することにより、2位に置換基を持たないジアザトリプチセンの合成法を確立した。同様の手法を用いることにより、1,1',1"-トリアザトリプチセンについても開発を日指す。
|