2008 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答性ポリペプチドライブラリーの作製による人工分子シャペロンの探索
Project/Area Number |
20850013
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 彩絵 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (10508203)
|
Keywords | 分子シャペロン / タンパク質 / ポリペプチド / フォールディング / エラスチン / 刺激応答性 |
Research Abstract |
タンパク質の変性・凝集を抑制して正しい立体構造への折れ畳み(フォールディング)を助ける技術は、生命科学や医療の発展に不可欠である。天然にはGroEL/ESに代表されるシャペロンタンパク質が存在し、細胞内タンパク質のフォールディングを助けている。その機構は完全には解明されていないが、1)変性タンパク質を疎水的な相互作用により捕捉したのち、2)フォールディングを助ける適切な親水性のナノ空間を提供し、3)正しくフォールディングしたタンパク質を放出する、という疎水/親水の特性変化を含むダイナミックな働きをすることが知られている。 本研究では、天然シャペロンの分子機構にならい、温度に応答して疎水/親水の特性変化を示すエラスチンポリペプチドを人工分子シャペロンとして利用した。エラスチンに見られる繰り返し配列(val-Pro-Gly-Val-Gly)_nは相転移温度以下ではランダムコイル構造をとり水に溶けるが、T_t以上では水和水を放出し七β-スパイラル構造を形成し、水に不溶となる。異なる分子長を有するエラスチンポリペプチドを遺伝子工学的に作製し、これらがモデルタンパク質(ウシ由来炭酸脱水素酵素)のフォールディングに与える効果を調べた。その結果、これらのエラスチンポリペプチドは相転移温度以上においてモデルタンパク質のフォールディングを効果的に促進した。また、エラスチン自体が形成する凝集構造の違いにより、シャペロン活性に大きな違いが出ることが確認された。
|