2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20850015
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲木 信介 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科(研究院), 助教 (70456268)
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Keywords | 高分子反応 / 有機電解反応 / イオン液体 / 導電性高分子 / 含フッ素高分子 / ポリフルオレン / ポリチオフェン / 環境調和型プロセス |
Research Abstract |
本研究は、「有機電解合成」と「高分子反応」の融合による、「高分子電解反応」という新しい方法論の開拓を目的とした。有機電解合成は環境調和型反応手法として知られるがこれまでに高分子化合物の電解反応は不可能あるいは同定が困難とされていた。 そこで本研究では可溶性導電性高分子を電極上に塗布固定し、イオン液体中で電解反応を行うことで高分子化合物の選択的電解反応に初めて成功した。具体的にはポリフルオレン誘導体の電解脱硫フッ素化反応を行うことにより、反応の進行を各種スペクトルにより追跡することができ、選択的、かつ定量的なフッ素化反応を確認した。得られたフッ素化高分子はフッ素基由来の電子求引性を有しており、分子内電荷移動相互作用という特異な電子的性質を示し、優れた光学・電気化学的特性を見出した。また、非共役系の高分子を用いた場合は反応が進行しないことを見出しており、本手法の制約を示しただけでなく反応メカニズムの解明へとつながった。 本手法の汎用性を示すため、ポリチオフェン誘導体の電解ハロゲン化反応についても検討し、特に電解塩素化が定量的に進行することがわかった。ハロゲン化高分子の物性評価だけでなく、電気化学的測定を駆使し、本手法ならではのメカニズムの解明にも成功した。 このように、高分子電解反応という新しい概念の確立とそれを利用した機能性高分子創製に成功し、現在もより詳細な反応検討、物性評価を行っている。
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Research Products
(18 results)