2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20850017
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
添田 貴宏 Kanazawa University, 物質化学系, 助教 (10506819)
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Keywords | 多成分反応 / 不斉反応 / イソシアニド |
Research Abstract |
多成分反応は3種類以上の出発物質を用いる合成反応であり、出発物質のうちの大部分が生成物に取り込まれ、副生成物が少ないだけでなく、ワンポットで標的化合物を得られることからアトムエコノミーに優れた魅力的な反応である。また多成分反応は、構造多様性を有するドラッグライクな小分子を合成できることから、コンビナトリアルケミストリー、あるいは創薬化学の分野において重要な役割を果たしている。特に含窒素化合物合成には非常に有効で、Ugi反応やHantzsch反応等の多様な系によって、簡便かつ高収率で幅広い生物活性を示す小分子を得ることが可能である。本研究は、イソシアニドの付加反応を鍵とする、触媒的不斉反応の開発と、それらの反応における不斉誘導の本質を系統的に解明することを主目的として研究を開始し、以下の結果を得た。 1)TMSC1を用いた環状ニトロンへのイソシアニドの付加反応の開発 TMSC1存在下、イソシアニドの環状ニトロンへの付加反応を行ったところ、対応するテトラヒドロイソキノリン骨格を有するアミドを良好な収率で得ることができた。本反応はTMSC1非存在化では進行しないことを確認した。 2)アルデヒド、イソシアニドおよびシラノールを用いたPasserini型反応の開発 シラノール存在下、アルデヒドへのイソシアニドの付加反応を行ったところ、対応するα-siloxyamide誘導体を高収率で得た。本手法はα-siloxyamide誘導体をone-potで効率よく得ることが可能な数少ない例の一つである。 以上のように本研究者は、イソシアニドの付加反応を鍵とする、新規反応の開発に成功した。これらの研究で得られた知見を活かし、新規かつ高効率的な不斉反応の開発に期待できる。
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Research Products
(4 results)