2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20850019
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浜崎 亜富 Shinshu University, 理学部, 助教 (60510120)
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Keywords | パルス磁石 / 磁場効果 / 細胞モデル / ダイナミクス / イオン |
Research Abstract |
本課題ではベシクルや細胞モデルのような機能分子の形状変化の詳細をダイナミクスの観点から議論する。実験にはパルス磁石(PM)を用いるが,従来のPMは,極低温での使用と大口径確保に重点が置かれ,化学実験には適さない部分が多い。そこで,平成20年度は目的に合わせ,中で光学測定や電気的測定ができる空間を確保しつつ,30T強の磁場強度が得られるよう,コイル形状やコンデンサ容量を見直し,システム全体を新規設計,開発を進めた。 30Tをφ8mmの空間に発生させるには,約2kJのエネルギーが必要と予想できる。そこで,キャパシタは耐圧250V,10mFのアルミ電解コンデンサを10台並列に接続させ100mFのバンクを形成し,DC200Vの充電で放電エネルギー2kJを得た。コイルはφ8のFRP製の筒にφ1.5の銅線を片側20×15mmの範囲で巻いて作成した。このインダクタンス(L)と抵抗(R)はそれぞれ132μH, 173mΩであった。 得られた充電エネルギーをこのコイルに瞬間的に放電すると,200V充電時,10Tの磁場が得られた。磁場発生時間が,理想の10倍以上であったことからも,大きすぎるキャパシタ容量が当初の目標を達成できなかった原因とみられる。平成21年度内の目的達成のため,低容量,高圧充電化を進める。 平成20年度はPMのシステム構築に時間を費やしたため,膜構造のパルス磁場効果については具体的に検討していない。しかし,イオン包接能と界面活性,分子集合体形成能などの複合機能を持つクラウン界面活性剤,N,N'-didecyl-diaza-18-crown-6-ether(22DD)について,包摂能やイオン透過能を静磁場中で評価したところ,カリウムを中心として,イオン透過能に磁場効果がある可能性を見出した。平成21年度は研究実施計画通り,パルス磁場中でのダイナミクス解析を電気化学的に評価する。
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