2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20850019
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浜崎 亜富 Shinshu University, 理学部, 助教 (60510120)
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Keywords | パルス強磁場発生システム / 生体膜機能分子 / 膜物質 / 磁場効果 |
Research Abstract |
本研究ではパルス強磁場発生システムの構築し,それにより生体膜機能分子への磁場効果のダイナミクスを解明することを目指した。助成を受けた2年間でシステムの構築とそれを用いた実験を行った。以下に詳細を記す。 (1)パルス強磁場発生システムの構築:本研究で使用する強磁場発生システムを,市販のアルミ電解キャパシタや電子部品等を用いて作成した。キャパシタバンクは10mFで,最高5000Jを蓄電できる。2100Jの充電エネルギーを瞬間的にコイル(L=84.1μH,R=96.4mΩ)に放電し,20T(数msのパルス幅)以上の磁場発生が確認した。なお,コイルは直径φ50mm,コイル長20mm,磁場発生空間φ8mmである。システム全体が可動なため,各種装置に取り付けて使用ができる。従来より,固体物理の分野で使われているシステムと比較し,大幅な小型化と汎用性,安価な制作費を実現した。 (2)生体機能分子への磁場の影響:(1)で作成したシステムを用い,生体膜モデルとして知られるリポソーム(DODACベシクル)や大腸菌にパルス磁場(数msのパルス幅)を印加した。その結果,ベシクルでは融合による粒径分布のシフトを,また大腸菌では菌株の死滅によるコロニー成長の抑制が観測された。以上の磁場効果は磁場印加後に磁場外で観測したものであるが,現在,特にベシクル粒径について磁場中でダイナミクスを観測できるシステムを継続して構築している。一方,錯形成能およびイオン透過能を持つジアザクラウン界面活性剤の分子集合体(黒膜)で,イオン流速への磁場効果を観測した。
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