2008 Fiscal Year Annual Research Report
アゾリウムカチオンを核とする高機能性キラル相間移動触媒の創製と応用
Project/Area Number |
20850021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大松 亨介 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (00508997)
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Keywords | 有機分子触媒 / 不斉合成 / オニウム塩 / 相間移動触媒 |
Research Abstract |
初めに、アキラルなイミダゾリウム塩およびその部分還元体であるイミダゾリニウム塩を数種類合成し、それらの安定性および相間移動触媒機能の評価を行った。イミダゾリウムおよびイミダゾリニウムカチオンは、強塩基性条件下2位の炭素への求核付加を起点とする開環反応によって壊れることが判明したが、適切な分子修飾を施すことにより一般的な相間移動反応条件下での安定性を獲得させることに成功した。さらに、シアノ化やアルキル化といった種々の反応において、高い相間移動触媒機能を発現することを見出した。この結果により、有機分子触媒としての利用というアゾリウム塩の新たな可能性が明示された。 続いて、キラルな触媒の設計、合成および評価に取り組んだ。α-アミノ酸やビシナルジアミンといった入手容易な化合物をキラル源として選択し、それらから簡便に合成可能な骨格をデザインし、合成・評価を行った。その結果、初期に検討した触媒では、各種合成反応において高効率的に反応を進行させるものの、合成化学的に満足のいくレベルの立体選択性を獲得できなかった。触媒構造と立体選択性との相関に関する詳細な検討を行い、不十分な選択性の理由はカチオン中心の近傍に存在する嵩高い置換基の存在に由来すると判断するに至った。そこで、触媒設計の抜本的な方向転換を図り、基質の接近を許容する十分な空間の確保と効果的な不斉場の構築を両立し得る新規軸不斉型イミダゾリウムカチオンのデザインを行った。来年度はそれらの合成および機能評価に注力する。
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