2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規構造をもつフラーレン液晶と、その電荷移動錯体の合成
Project/Area Number |
20850025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊熊 直彦 Osaka University, 工学研究科, 助教 (70505990)
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Keywords | 自己組織化 / 電気・電子デバイス / フラーレン / 液晶 |
Research Abstract |
近年、フラーレンの有機半導体・太陽電池・電荷移動錯体性磁性体への応用が研究されている。フラーレン類に液晶性を持たせることができれば、高分子有機半導体のように塗布法による簡便な素子作成が可能になる上、外部電場により分子配向を制御でき特性の向上が期待できる。既存のフラーレン液晶では外部刺激応答性に着目したものは少ないが、本研究では電場応答性と、添加剤応答性(電子供与性物質による電荷移動錯体形成)を有するフラーレン液晶の合成に着目した。外場応答性を向上させるため、フラーレンに水酸基部位を導入し、液晶性部位(メソゲン基)を双極子モーメントの大きなエステル基で直結させた分子を設計した。 フラーレン液晶合成のためには、反応の位置選択性を高めることが必要である。本年度は、Diels-Alder反応と、酸化フラーレンに対するFriedel-Crafts反応に着目した。前者の反応において、C_<60>では多付加体が生成することが知られているが、フラーレンにメチレン架橋基を導入したフレロイドを反応に用いた場合では選択的に一付加体を得られることが判明した。本成果を発展させ、フレロイドを出発物質とした液晶材料の合成法を検討中である。 後者の反応において、ルイス酸触媒下酸化フラーレンと芳香族化合物が選択的に二付加することが報告されている。本研究では、アニソール付加後、脱メチル反応とエステル化反応によりメソゲン基を二つ導入したフラーレン誘導体の合成に成功した。相転移挙動の測定から複数の相転移ピークを示し、また偏光顕微鏡で光学組織が観察され、液晶の発現を示唆した。液晶相の存在を確かなものとするため、詳細な相転移測定と、分子構造修飾を行う予定である。さらに、ドーパント添加により相構造がどのように変化するかについても検討中である。
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