2009 Fiscal Year Annual Research Report
水―油界面局在構造の4次のコヒーレントラマン分光法による観測
Project/Area Number |
20850026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野本 知理 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環分子フォトサイエンス研究センター, 学術研究員 (00510520)
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Keywords | 表面・界面物性 / 振動分光法 / 非線形分光法 / 分子科学 / 物理化学 |
Research Abstract |
振動スペクトルは分子や結晶の構造を鋭敏に反映するが、生物現象にも産業用途にも活用される、水-油界面のような埋もれた界面の分子振動を検出可能な方法はほとんどない。界面のみで許容となる偶数次の非線型光学過程を用いた非線形分光法である4次のコヒーレントラマン分光法は、紫外・可視光を用いることで溶媒の赤外吸収を避けて界面の振動スペクトル測定を行える新しい振動分光法である。この手法を時間領域で行うことで、他の手法では測定し得なかった100~1000cm-1の低波数振動を界面選択的に得ることが可能となる。 平成21年度は4次コヒーレントラマン分光法の水-油界面への適用可能性の検証のために、水-油界面測定用セルを作成した。このセルを用いることで液体-液体界面の測定が可能になったことから、液体界面で発生する第2高調波の計測を行った。測定の結果、オキサジン色素水溶液とアルカンの界面において、水層に界面活性剤を投入することによる第2高調波強度の大幅な増強が観測された。これは界面活性剤が水-油界面に吸着することにより色素分子の配向が制限されたことに由来すると考えられる。得られた液体-液体界面に対してプローブ光を導入し、4次コヒーレントラマン分光の測定を行い、フェムト秒の時間分解能で第2高調波強度の時間依存性の信号を得た。一方、液体中の固体界面の4次コヒーレントラマン分光測定結果については、本年度解析を行ったところ液体中で4次ラマン分光法を適用する際の利点・欠点が明らかになった。
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Research Products
(10 results)