2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20850034
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大江 洋平 Doshisha University, 生命医科学部, 助教 (20512734)
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Keywords | ルテニウム / アルコール / 水和反応 / 水 / オレフィン |
Research Abstract |
1) ノルポルネンの水和反応の検討:これまでに当研究室で開発された様々なルテニウム触媒系を、種々の溶媒を用いて条件検討を行った。その結果、ごく最近我々が開発したXantphosを配位子とする二価のルテニウム錯体RuCl_2(PPh_3)(Xantphos)とトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)から構成される触媒系がノルボルネンの水和反応をベンゼン溶媒中、80℃、18時間で効率よく進行させ、目的とするノルボルネオールが92%の高収率で得られることを明らかにした。得られたノルボルネオールはexo体のみであり、これまでの我々のヘテロ求核剤の付加反応の結果によく合致している。また、AgOTfのみでは反応は進行せず、トリフルオロメタンスルホン酸を触媒として用いた場合では、この条件ではベンゼンとノルボルネンの間でのFriedel-Crafts反応が優先して進行した。これらの結果は、本反応への酸触媒の寄与はほとんどなく、ルテニウム錯体触媒が主として目的の本反応を進行させていることを示唆するものであり、本研究の成功への第一歩になるものであると確信している。 2) ノルボルネン誘導体の水和反応の検討:基質適用範囲の検討の第一段階として、ノルボルネン誘導体を用いて検討した。オキシカルボニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基を有するものであっても、種々のノルボルネン誘導体の水和反応を低収率から中程度の収率で進行させることも明らかにした。この結果は、本触媒反応系において、基質に上述のような置換基があっても、それらが損なわれることなく共存できることを示すものであり、重要な知見である。
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