2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境微生物の機能解明に不可欠なシングルセルレベルでの視覚的な遺伝子検出技術の開発
Project/Area Number |
20860009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保田 健吾 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (80455807)
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Keywords | FISH法 / 機能遺伝子 / 環境微生物 |
Research Abstract |
本研究はmicrobial autecology(微生物をシングルセルレベルで解析すること)の確立に貢献すべく、微生物の機能遺伝子を細胞を破壊せず視覚的に検出可能な技術を提供することを目的として行われている。そこで申請者の研究グループが開発したtwo-pass TSA-FISH法を用いた遺伝子検出技術の開発を行った。プローブにはオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドプローブを用い、モデル微生物系としてメタン生成古細菌および硫酸還元菌を用いた。標的遺伝子にはメタン生成反応を触媒するMethyl co-enzyme M reductaseのアルファサブユニットをコードするmcrA遺伝子および硫黄呼吸反応を触媒するadenosine-5'-phosphosulfate kinaseのアルファサブユニットをコードするapsA遺伝子とした。オリゴヌクレオチドプローブは、mcrAに特異的なPCRプライマーをプローブとして用いた。ポリヌクレオチドプローブは標的微生物のゲノムDNAをテンプレートとしたPCR法により、プローブ中にDNP標識dUTPを取り込ませたものを合成して用いた。その結果、オリゴヌクレオチドプローブを用いた場合、two-pass TSA-FISH法を用いてメタン生成古細菌のmcrA遺伝子を可視化することが可能であった。ポリヌクレオチドプローブを用いた場合は、メタン生成古細菌についてはTSA-FISH法で、硫酸還元菌についてはtwo-pass TSA-FISH法を用いて可視化可能であった。また本技術の環境サンプルへの適用性を評価した。まずmcrA遺伝子については、環境サンプルから抽出したDNAからmcrA遺伝子特異的なプライマーセットを用いてクローンライブラリーを構築し、その際に作成したプラスミドを用いてプローブを合成した。apsA遺伝子についてはapsA遺伝子特異的なプライマーセットを用いて環境サンプルから抽出したDNAをテンプレートとしてプローブを合成した。嫌気性汚泥サンプルに本技術を適用したところ、シグナルを得ることが出来た。DNase処理や高ストリンジェンシーでの実験など、幾つかのコントロール系と比較すると、得られたシグナルは特異的であり、標的遺伝子を有している微生物を特異的に検出できていたと考えられる。一連の研究を通して、機能遺伝子を視覚的に検出可能な技術が開発できたと言える。
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Research Products
(6 results)