2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20860011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳 延輝 Tohoku University, 金属材料研究所, COEフェロー (70506469)
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Keywords | 金属ガラス / 機械的性質 / 延性 |
Research Abstract |
平成20年度は、材料作製、組織解析、機械的特性評価に重心を置いて研究を行った。今回、3タイプの材料について金属ガラスを作製し、注意深く構造解析を行った。1つめの試料は、良い延性を示すZr-Cu-Ni-Al系の金属ガラスである。組織観察に透過電子顕微鏡を用いた。電顕試料はイオンミリングと電解研磨の2つの方法で作製した。どちらの方法でも作製した試料の組織は、不均一構造であることが分かった。すなわち、Zr-Cu-Ni-Al系の金属ガラスの延性の起源は、均一な金属ガラスにとは対照的に、不均一構造が起因していることが考えられる。2つめの試料は、Cu系のバルク金属複合ガラスである。強化層としてTa結晶相を用いた。機械特性評価の結果、Taの最適な体積率で良い延性を示すことが分かった。これにより、せん断帯の伝播を制御するためには、粒子間の臨界間隔が必要であることが分かった。せん断帯パターンの解析より、Ta結晶相が効果的にせん断帯の伝播を阻害していることが分かった。Ta粒子近傍では、多くのせん断帯が観察されており、マクロな延性へ寄与していた。ナノインデンテーションによる評価より、ソフトなTa粒子と硬い金属ガラス相にかけて硬度が変化していることが分かった。3つめの試料は、金属ガラス薄膜である。今回、アモルファス金属ガラス単相薄膜とCu/金属ガラス多層薄膜を作製した。薄膜の構造解析には、X線回折と透過電顕を用いた。金属ガラス単相薄膜は、単相の金属ガラスの特長を示していた。一方で、多層薄膜の方は、2相のアモルファス構造を有していた。また、単相薄膜の方は脆く、多層薄膜の方は延性を有していることが破面観察より推察できた。これらの結果を総合すると、不均一構造を導入することが金属ガラスの脆性問題を解決できる糸口になる事が期待できる。
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Research Products
(2 results)