2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20860011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳 延輝 Tohoku University, 金属材料研究所, COEフェロー (70506469)
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Keywords | 金属ガラス / MEMS |
Research Abstract |
基本的な熱力学の法則から、金属ガラスの降伏応力についての統一スケーリング法則を見いだすことに成功した。 結晶での変形によって生じる転位運動とは異なり、室温における金属ガラスの変形と降伏現象はナノサイズの不均一なせん断帯の生成を伴って起こる。この不均一な変形に対して、これまで空間的・時間的観点からマイクロスケールにおける記述でもって、メカニズムを説明されてきた。しかしながら、そのようなマイクロレベルの物理プロセスがマクロなガラス金属の降伏強度を説明できるかについては分かっておらず、近年の議論の的になっていた。金属ガラスの強度とヤング率がガラス遷移温度と相関があることはこれまでよく知られていた。そして、モル体積の項を組み合わせることで、室温での破断強度はガラス遷移温度に対して線形の関係があった。これまで、この線形関係の物理法則を明らかにするために、いくつかの試みがなされてきた。しかしながら、それらの研究は、いくつかの近似や仮定を行うことで説明付けようとしていた。結果的に強度とガラス遷移温度の相関についての物理的な原理についてはよく分かっていなかった。本研究によって、金属ガラスの降伏応力についての統一スケーリング法則τy=3R・(Tg-RT)/V,(τy:降伏強度、R:気体定数、Tg:ガラス遷移温度、RT:室温、V:モル体積)を見いだした。この式は、基本的な熱力学法則より導かれ、種々の金属ガラスの実験データを用いて実証した。降伏強度とガラス遷移温度の線形関係は、金属ガラスの強度はガラス遷移温度と相関があるが、融点とは相関が無いことを示している。そしてまた、外力によって生じる金属ガラスの弾性的不安定性は、機械的なエネルギーによってガラス遷移を起こしているということを示している。
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Research Products
(4 results)