2009 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタ法による複合機能応答する誘電性-磁性薄膜の作製
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20860012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横井 敦史 Research Institute for Electric and Magnetic Materials, 電磁気材料グループ, 研究員 (60513760)
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Keywords | 誘電性 / 磁性 / スパッタ法 / 薄膜 / ナノコンポジット / 磁性金属元素 / 誘電損失 / 電気抵抗 |
Research Abstract |
現在の電子デバイス等では、一般的に単機能特性に特化した材料が用いられている。例えば、強誘電体不揮発性メモリー(FeRAM)に応用される強誘電体材料においては、分極率等の強誘電性のみの単機能特性に優れた薄膜材料が求められる。しかしながら、今後更なる高機能化(高集積化、複合機能化、低エネルギー化・省エネルギー化)する次世代デバイスに応用するため、一つの材料で複数の機能を発現する新材料の開発が要求される。本研究において平成20年度は、TiO_2-磁性金属元素による薄膜の作製をマグネトロンスパッタリング装置により行い、誘電損失と磁化の値について相関性を有する事が認められた。平成21年度は、他の酸化物系材料としてTiと同族のHfの酸化物及び希土類元素酸化物のY_2O_3ターゲットを用い誘電性-磁性との相関性を検討した。HfO_2-Co複合ターゲットにより作製したスパッタ薄膜においては、TiO_2-磁性金属系薄膜と同様の誘電損失と磁化の相関性が認められ、更に電気抵抗との詳細な知見が得られた。すなわち、電気抵抗ρ=1.0×10^6~1.0×10^8(μΩcm)の領域において、酸化物系薄膜では最適な誘電性と磁性の複合機能が認められる材料開発の知見が得られた。得られた知見を基に、Y_2O_3-Co複合ターゲットを用いて、電気抵抗を制御しながら薄膜作製を行った結果、LCRメータにて100kHzの周波数で誘電率27及び誘電損失0.1の値が得られた。また、交番力磁力計(AGM)を用いて磁化を測定した結果、11kGの値を有し、誘電性-磁性の複合機能性を有する事が認められた。したがって、酸化物系誘電体薄膜材料において、電気抵抗の制御により、誘電性と磁性の複合機能領域の制御を可能とした。
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