2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外域フォトデバイス用酸化亜鉛半導体の電極形成機構の解明
Project/Area Number |
20860014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 光浩 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (00510546)
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Keywords | 界面 / 電子顕微鏡 / 電極 / 酸化亜鉛 |
Research Abstract |
紫外域フォトデバイスの母体材料となるn型酸化亜鉛(ZnO)には、整流特性を生み出すショットキー障壁を作る金属との接合が必要である。しかしながら実用化の一歩手前で、安定なショットキー障壁を伴う電極形成の技術的な問題に直面している。界面電気特性を設計するための従来のショットキーモデルでは、系の組み合わせだけで説明しており、材料の高性能化・高機能化につれ、対応が限界にきている。現在、界面原子構造の依存性まで考えたモデルの構築が要求されている。 平成20年度に引き続き、Pd/ZnO系をショットキーモデル界面、Ti_3SiC_2/p型4H-SiC系をオーミックモデル界面として採用した。界面それぞれを作成し、空間分解能0.1nmを保有する超高圧高分解能透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM-ARM1250)によって、界面局所原子構造の観察を行った。さらに高分解能電子顕微鏡像の直接的な解釈は困難なため、計算像によるシミュレーションを行った。15種類にまでも及ぶイメージングパラメータや構造モデルの原子座標を少しずつ変化させ計算を繰り返し行い、実験像と計算像を比較しながら、最も一致度が高いパラメータを選定し、原子種を識別、各原子中心を正確に決定する方法を使い、像から構造を抽出し、定量的に局所原子構造の決定を行った。また、実験で得られた代表的な局所原子構造のモデルクラスターを抽出して、DV-Xa法に基づいた第一原理計算から界面局所電子状態を計算し、その構造モデルをとる物理的背景を検証した。 界面局所構造は、基板の極性によって大きく異なっていた。従来の説では、系の組み合わせだけで、ショットキー障壁高は、決まるとされていた。しかし、界面原子構造、界面電子状態は、同じ系でも極性に強く影響していることが明らかにされた。界面における局所的な欠陥原子構造や電子分布、ポテンシャル分布、界面での大きな電子移動が、界面におけるバンドの不連続性、すなわちショットキー障壁の安定性に寄与していると推察される。
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