2009 Fiscal Year Annual Research Report
高窒素含有Niフリーオーステナイト系ステンレス鋼の高強度摩擦撹拌接合継手の作製
Project/Area Number |
20860019
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
宮野 泰征 Akita University, 教育文化学部, 准教授 (60466589)
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Keywords | 高窒素鋼 / 摩擦攪拌接合 / FSW / オーステナイト / 継手 / クロム窒化物 / 接合ツール / ブローホール |
Research Abstract |
高窒素鋼は、従来の溶接技術では、摩擦接合時の入熱の影響による溶接欠陥の発生を誘起してしまうため、接合が難しい材料として知られている。また、強靭な高窒素鋼に対し、これに耐えうる接合ツールの検討も望まれている。現在、高強度とされるPCBN(多結晶立方晶窒化ホウ素)でさえも、その強度は十分に保障されていない。本研究では、PCBNに変わる安価で強靭な接合ツールとして窒化珪素系接合ツールの適用の可能性を検討し、入熱量の制御を目的に各接合条件(接合速度、ツールの回転速度、荷重)を設定し、各条件における継手特性を評価した。本年度は、厚さ2mm程度の高窒素鋼を対象に、入熱量を計測しながら、信頼性の高い健全な接合継手作成の条件を、入熱量と機械的特性の関係について評価した。 摩擦攪拌接合時のツールの回転速度と、荷重を制御することで、窒化珪素系接合ツールの発熱量を適正な状態に維持し、強靭な高窒素鋼に対しても適用の可能性がある範囲で、入熱量の異なる継手を何種類か作製した。目視、およびマクロ観察レベルで良好と判断される接合条件の候補に、ビッカース硬さ、降伏強度などの機械的特性と入熱量の関係を検討した。実験に供した材料の、温度状態図を作製し、実際に実験で得られた継手の金属学的な解析結果との整合性を評価した。さらに、EBSDを使用した接合継手の微細金属組織の相同定を実施し、入熱による結晶粒の微細化と、オーステナイト組織が保持される最適な接合条件の導出に成功した。
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