2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱応力によるチタン酸ストロンチウム単結晶膜の強誘電性誘起とその発現機構の解明
Project/Area Number |
20860036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 智明 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特任助教 (80509349)
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Keywords | 強誘電体薄膜 / 誘電体物性 / エピタキシャル・単結晶成長 / 歪み・応力 |
Research Abstract |
有害元素を含まない環境調和型の強誘電体材料の研究が盛んに行われている。しかし、強誘電性をもたらす歪んだ格子構造を安定化する鉛のような孤立電子対を持つイオンの代替には限りがある。一方で、薄膜の場合には、基板の拘束によって格子を歪ませることができるため、チタン酸ストロンチウム(SrTiO_3)のような本来強誘電性を示さない材料においても強誘電性の発現が可能となることから、新たな格子歪みの安定化手法として期待できる。本研究では、主に基板と薄膜の熱応力、すなわち熱膨張係数のミスマッチの利用に注目し、SrTiO_3薄膜の強誘電性の発現とその機構解明を行った。 最終年度は、CaF_2を始めとする各種基板上における薄膜合成条件の更なる最適化と、得られた膜の特性評価、他組成薄膜への応用を行った。得られた成果は以下の通りである。 ・CaF_2上に成長した膜の冷却速度の制御により、クラックの発生による歪み緩和を最小限に押さえた。 ・得られた薄膜の格子定数の温度依存性を明らかにした。その結果、-0.9%の歪み(100)SrTiO_3薄膜の強誘電相転移温度は約140Kと見積られ、理論予測と一致した。 ・酸素8面体の微小回転による構造相転移(Antiferrodistortive相転移)温度の歪み依存性を、シンクロトロンXRDおよびTEMを用いて明らかにした。観測された構造相転移温度は理論予測よりも大幅に高く(-0.9%の歪み薄膜では約360K)、強誘電特性へ与える影響はこれまでの予測と大きく異なる可能性が示唆された。 ・SrTiO_3の他に(Ba,Sr)TiO_3についても薄膜を作製し、歪みと強誘電相転移温度との関係を明らかにした。
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[Journal Article] Antiferrodistortive Structural Phase Transition in Compressively-strained Epitaxial SrTiO_3 Film Grown on (La, Sr) (Al, Ta) O_3 Subtrate2010
Author(s)
T.Yamada, T.Kiguchi, A.K.Tagantsev, H.Morioka, T.Iijima, H.Ohsumi, S.Kimura, M.Osada, N.Setter, H.Funakubo
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Journal Title
Integrated Ferroelectrics (In press)
Peer Reviewed
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[Presentation] Strain-Controlled Epitaxial Perovskite Films For The Induced Ferroelectricity2009
Author(s)
T.Yamada, T.Kamo, A.K.Tagantsev, I.Takuwa, T.Kiguchi, T.Iijima, M.Osada, O.Sakata, D.Su, N.Setter, H.Funakubo
Organizer
International Conference on Electroceramics 2009(ICE2009)
Place of Presentation
New Delhi, India
Year and Date
2009-12-17
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