2009 Fiscal Year Annual Research Report
交通エコポイント施策の経済学的分析と効果的なサービスレベルに関する研究
Project/Area Number |
20860043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 仁美 Nagoya University, 環境学研究科, 特任助教 (00509193)
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Keywords | 交通需要マネジメント / 交通工学・国土計画 / エコポイント |
Research Abstract |
本研究で対象とする交通エコポイント施策は,ポイント制度の「お得感や楽しさ」とポイントを「エコ」と結び付けることによって公共交通利用促進を図る施策であり,公共交通乗車券のICカード化に伴い施策を実施する地域が増えている施策である.エコポイント施策を実施するにあたり,運賃値下げなどの他の料金施策との違いや交通エコポイント施策を効果的に実施するためのサービスレベルに関する知見を得ることが必要である. そこで,本研究では,まず,エコポイント施策と他の料金施策との相違について,ミクロ経済学や行動経済学の理論を援用し,各施策の特徴の1つである「お得感」に着目した分析フレームを提案するとともにその効果について実証分析を行った.「お得感」を表すことのできるメンタル・アカウンティング理論(Thaler, 1985)を援用し,各種施策の違いを表す分析フレームを作成し,名古屋市で実施された社会実験時のアンケート調査データのうち各種料金施策が実施された場合の交通行動の変化を尋ねたSP調査データを用いて,分析を行った.同じ額の割引とエコポイントでは,エコポイントのほうが「お得感」が大きく,効果的である可能性が示唆された. 次に,昨年度行ったアンケート調査では,参加者の特徴を把握する質問を行っており,そのデータを用いて,参加者の特徴について分析した.子供のいる世帯の参加者が50%を占めていることや,子供の参加と両親の参加は有意に関係があるが,夫の参加と妻の参加は有意ではなかった.参加者を獲得するためには,子供が参加しやすい,楽しめるサービスとすることも有効であると考えられる.
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