2008 Fiscal Year Annual Research Report
組合せ応力下におけるバルク金属ガラス力学特性の解明と試験片開発
Project/Area Number |
20860046
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉川 高正 Mie University, 大学院・工学研究科, 助教 (10505902)
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Keywords | バルク金属ガラス / アモルファス構造 / 結晶相 / 組合せ応力状態 / 複合負荷試験 / アーク炉 |
Research Abstract |
本研究は、機械構造用部品への応用が高く期待されているバルク金属ガラス(以下BMG)に関して、設計や塑性加工において必要不可欠となる組合せ応力状態下での材料力学特性の調査を実現することを目的とした。特に、未だ材料入手が困難なBMGについて複合負荷調査を可能とする適切な中空丸棒形状の試験片を作製するためのシステムを構築することが主眼である。以上の目的に対して、Zr-Al-Cu-Ni BMGの無形試験片の予備試作、中空丸棒形状の試験片を作製可能なアーク炉の設計・作製を行った。また同時に、入手可能なZr基BMG板状供試片について常温での単軸力学試験を行うとともに、各種条件における熱塑性変形実験を実施し、リファレンスとして予備実験を行った。 予備試作された無形試験片は、結晶相を多く含む合金であることが確認された。BMG特有の非晶質構造を実現するためには、原料金属粉の混合状態や粉末粒径の均一性、融解状態からの高速冷却が必要であると考えられた。そこで、高温になる溶融部と成形部を分離するとともに成形部に冷却機構を備えた中空丸棒状BMG試験片用アーク炉を設計・作製した。所属機関の改修工事に伴い、本機による合金試作には至らなかったが、無形合金作製時に得た知見を元に、本機を用いることで、早期にBMG試験片の作製が実現できるものと期待される。 一方、板状供試片による予備実験からは、特に、単軸引張・圧縮実験が主体であったBMGの力学的特性調査に対して、前例のない純剪断実験によって、シミュレーションで予期されていた常温における組合せ応力下での挙動に関する基礎的な特性が実証された。今後、本研究で作製された中空丸棒状BMG試験片作製アーク炉によって、適切な形状のバルク金属ガラスが作製されることで、上記予備実験結果を堅実なものとし、これによってBMGの応用範囲が大幅に拡大することが期待される。
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