2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20860048
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
弓削 是貴 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (70512862)
|
Keywords | 合金 / 表面 / 第一原理計算 / クラスター展開 / 状態図 / 触媒 |
Research Abstract |
まず研究実施計画に挙げた平成20年度の2つの実施項目について,現在の成果を報告する. (1) 「Pt-Rh及びPt-Cu合金(111)表面に対するCO及びH吸着:安定な合金表面の触媒活性に対する合金化の効果の評価」:熱力学的に安定なPt-RhおよびPt-Cu合金(111)表面に対するCO及びH吸着エネルギーを第一原理計算から評価した.その結果,比較的作動温度の低い固体高分子形燃料電池などの触媒電極では,Pt単体表面に対してPt_<25>Rh_<75>及びPt_<25>Cu_<75>(111)表面で10-20倍程度,CO被毒に対するH原子の被覆率を顕著に改善できることが明らかになった.これは,最表面のPt原子のdバンドの電子状態が,合金化による格子定数の変化(幾何的寄与)及び合金化に伴う電荷密度の変化(化学的寄与)により変化することと関連付けられた.本研究から,熱力学的に安定な合金表面を用いて,金属単体表面よりも高い触媒活性を有し,かつ長期間の使用に対する安定性を示す表面材料を設計するための指針を示すことができた.本研究の結果は,現在Nature Materials誌に投稿準備中である. (2) 「Pt-Rh-Cu3元系合金表面の状態図計算:多元系合金表面の構造と相安定性の予測」 現在,Pt-Rh-Cu3元系バルクの平衡状態図計算を完遂し,表面状態図は計算遂行中である.前者について,基底状態の規則構造や高温での不規則相の相安定性を網羅的に評価し,その結果は現在Journal of phisics: Condensed Matter誌に投稿準備中である. さらに申請者は,これまで予測が困難であった,バルクと異なる結晶構造を有する合金表面に対する構造と相安定性を精確かつ網羅的に予測できる理論計算の手法を開発した.これは研究実施計画に記載はないが,理論計算による合金表面材料設計の適用範囲を大幅に広げる画期的な手法である.この理論計算手法については,現在Physical Review B誌に投稿中である.
|
Research Products
(3 results)