2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20860048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
弓削 是貴 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (70512862)
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Keywords | 合金 / 表面 / 第一原理計算 / クラスター展開 / 状態図 / 触媒 |
Research Abstract |
研究実施計画に挙げた平成20年度の2つの実施項目について,その成果を報告する. ・「CO吸着したPt-Rh合金(111)表面の状態図計算:分子吸着による表面平衡状態の変化の予測」 まず我々は,表面平衡状態の変化の予測をおこなうプログラムを作成する前の予備計算として,Pt-Rh合金(111)表面のいくつかの代表的な原子配置に対してCO分子を吸着させたモデルを作成し,その安定性を第一原理計算を通して吟味した.その結果,分子吸着構造によって,安定な表面の結晶構造が清浄表面のそれと異なる(最稠密面の積層構造が異なるなど)場合があることを確認した.このように,Pt-Rh系合金において分子吸着表面の安定性を包括的に取り扱うには表面の結晶構造の変化を考慮する必要がある.しかし本研究で用いるクラスター展開法,あるいはこれは原子配置をイジングスピン表現するイジングモデル全てに当てはまるが,これらは異なる結晶構造を同時に取り扱うことができない.そこで我々は,基準格子と仮想格子という新しい概念を導入し,その組み合わせで異なる結晶構造を同時に取り扱える可変格子クラスター展開法を開発した.この結果はJournal of Physics: Condensed Matter誌に掲載された. ・「Pt-Rh,Pt-Cu合金表面に対するCO,H吸着:高い触媒活性を有する表面合金の包括的な探索」 我々はPt-RhおよびPt-Cu合金表面のCO,H吸着エネルギーがdバンドの重心と強い相関があることに着目し,dバンドの重心を原子配置の関数としてクラスター展開し,高い触媒活性を有する表面構造を包括的に探索した.その結果,これらの系では原子配置と触媒活性の相関は小さく,H20年度で明らかにした最安定な合金表面或いはそれに準ずる組成をもつ構造の触媒活性が高いことを確認した.
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Research Products
(8 results)