2009 Fiscal Year Annual Research Report
移植細胞の非侵襲定量評価のための積分球光学系を用いた赤外分光解析手法の開発
Project/Area Number |
20860052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 克典 Osaka University, 工学研究科, 助教 (20512073)
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Keywords | 赤外分光 / 積分球 / 移植細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
本研究は、安全な再生医療早期実現化のための移植細胞の非侵襲定量評価技術として、幹細胞や癌細胞などの特徴ある細胞の赤外波長域の光学特性を測定するシステムを開発することを目的とした。本研究の特色は、これまで検討されてこなかった赤外波長域の光学特性を算出するためのシステム開発および、赤外波長域の光学特性を用いた細胞の評価手法の確立にある。 平成20年度に引き続き、中赤外波長域用の積分球光学系の開発を行った。中赤外波長を拡散反射可能な反射面を持つ金コートの積分球を使用した。反射球の入射側および出射側のポート直径はそれぞれ5mmおよび10mm、透過球の入射側のポート直径は10mmとした。フーリエ変換型赤外分光光度計の光源、光学系、マイケルソン干渉計を、検出器には液体窒素冷却型MCT検出器を使用し、双積分球光学系を備えた赤外分光システムを構築した。 正確な吸収係数の算出には正確な厚み(光の通過する距離)が必要である。そこで我々は、試料厚みを正確に設定可能なサンプルホルダーの開発を独自で行った。窓材にBaF_2を用い、厚み調整幅が~13mmで0.5μm単位で可変制御可能なサンプルホルダーの開発に成功した。開発した積分球赤外分光システムおよびサンプルホルダーを使用し細胞試料の拡散透過率の測定を行った。細胞にはマウス骨髄由来間葉系幹細胞株Kusa-A1を用いた。赤外透過性結晶BaF2基板上に細胞懸濁液を滴下し薄膜状の試料とした。波長域2.5~12.5μm(波数域4000~800cm^<-1>)、分解能4cm^<-1>、積算回数1024回で測定を行い、S/N比の良い拡散透過率スペクトルを得ることに成功した。 本研究開発技術により細胞の分子結合・官能基レベルでの情報を低侵襲かつ定量的に分析することが可能となり、幹細胞の分化などの有用な情報を簡便且つ迅速に得ることが可能となると考えられる。
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