2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小空隙中の液状水の粘性挙動の解明とコンクリートの耐久性能評価
Project/Area Number |
20860061
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡崎 慎一郎 Ehime University, 大学院・理工学研究科, 助教 (30510507)
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Keywords | コンクリート / 液状水 / 粘性 / 分子シミュレーション / 透水試験 / 耐久性 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート構造物における劣化現象には,すべてに水分が関与しており,構造物の寿命の算定や効率的な維持管理の策定には精緻な水分移動モデルの構築が必要である.現行の解析手法においては,流動を支配する液状水の粘性を空隙の大小によって変化させる高度な構成則を採用しているものも存在するが,それでもなお長期的な水分移動量を過大評価する傾向にある.これは,圧力勾配下にあっても液状水が停止する現象を考慮していないことに起因する.本研究では,上述の粘性に加え,地盤材料モデルに用いられる始動動水勾配を加味した粘性挙動に関する構成則を,分子シミュレーションによる数値実験結果から立脚し,その妥当性の検証を実施した.以下実施した実験とその結果を示す.(1)種々の混和材を使用したコンクリートの,アウトプット法に基づく透水試験により,空隙構造および硬化体の化学組成が透水性に与える影響を検討した.単位空隙あたりの透水量を検討した結果,透水性および粘性は硬化体の化学組成に影響を受けることが明らかとなった.(2)分子シミュレーションによる液状水の粘性に関する数値実験により,空隙系およびL-Jポテンシャルの相違が液状水の粘性および始動動水勾配に与える影響を検討した.L-Jポテンシャルの相違が粘性および始動動水勾配に与える影響は大きいことが明らかとなった.(3)微小空隙中の液状水の粘性に関する構成則の立脚し,提案するモデルを使用して,水分移動量,塩化物イオン拡散性状の相違を解析によって確認した.
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