2008 Fiscal Year Annual Research Report
理論的アプローチを用いた低温作動型SOFC用固体電解質の開発に関する研究
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20860062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野尻 能弘 Kyushu University, 水素利用技術センター, 特任助教 (50512696)
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Keywords | 固体酸化物型燃料電池 / 固体電解質 / ランタンシリケート / 低温作動型燃料電池 / 酸化物イオン導電体 |
Research Abstract |
平成20年に実施した実験の成果について 1)La_10Si_6O_27の構造解析及び量子化学計算による成果 2)本研究で取り扱う固体電解質電極について 以上2点について以下に示す。 1)について、La_10Si_6O_27の結晶構造とSiサイトの部分置換、Laサイトの部分置換試料の構造解析の結果を反映して量子化学計算(Crysta106による構造安定化計算)に組み込み、La_10Si_6O_27のLa及びSiサイトの両方に置換した場合の効果を検討した。その結果La_<10-x>Ba_xSi_<5.7>Mg_<0.3>O_<26.7-X/2>を合成した。XRDや放射光回折のリートベルト解析結果から従来のc軸方向以外にab面方向の導電パスが形成されている可能性が判明した。この結果はこの系の導電性を向上する上で非常に重要な知見であるが、Ba置換による酸素量の減少により特定の量以上のBaを置換すると導電率が減少した。そのことから、ab面内の導電性を確保しつつ、担体である酸素量の減少を抑えるという設計指針が得られた。 またLa/Si比を変化させた場合の変化について、知見が無い状態であり、それについても検討した。その結果、La_10Si_6O_27より導電率は低いもののLa_12Si_6O_30(La_2SiO_5)が高い導電率を示すことが判明した。La_2SiO_5の組成で構造安定化計算を行うと単斜晶の方が安定である結果が得られた。実験では六方晶の方が得られた。これは常温での計算結果を示しているためと考えられる。事実、何度か常温にて風化した試料が得られており、六方晶は高温領域での準安定相ではないかと考えている。 2)について、本系に適した酸化物電極を探索した結果、空気極ではLaCoO_3系、燃料極ではNi-SDCサーメットが適していることが判明した。尚、本研究において、標準電極であるPtを用いた場合、燃料極との界面に絶縁層が形成されている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)