2008 Fiscal Year Annual Research Report
人指の巧みさに寄与する解剖学的下位メカニズムの力学の解明
Project/Area Number |
20860066
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
井上 貴浩 Okayama Prefectural University, 情報工学部, 助教 (60453205)
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Keywords | 仮想軌道 / 許容誤差 / バイオメカニクス / 対向把持 |
Research Abstract |
本研究の1年目の成果としては,拇指と示指の対向把持形態における器用さや巧みさの定量化に成功したことである.これらは人指や前腕を含めた上肢全体のバイオメカニカルな構造に直結している.先行研究で既発表の2指2自由度機構による操り動作の閉ループダイナミクスに加えて,拇指と示指の対向把持を模倣した2指5自由度ロボットハンドのダイナミクスの導出に成功した.同時に,把持物体の姿勢制御を実現する新2段階制御則を提案することができた,これは,物体姿勢を積分制御で目標角度に収束させる(1段目制御器)と同時に,そこで生成する値を直列に関節角PD制御器に入力する.1段目で生成された値というのは実はトルクではなく,1段目で利用する関節角目標である,この関節角目標は仮想軌道であり,2段目において実関節角は仮想関節角軌道に収束する必要はない.逆言すると,実際関節角に大きな,かつ定常的な偏差が残っている.しかしながら,目標タスクである把持物体の姿勢は目標値にロバストに収束している.この関節角度偏差を“許容誤差"(Admissible Error)と呼んでいる. この1年目の知見をバイオメカニクスの観点から観察しよう.この仮想軌道は実はHoganらによって先見的に仮説として指摘されている,それは,例えば上肢のリーチング運動において,手の到達地点までの軌道は上肢全体の剛性や粘性,ならびに筋群の発射頻度等の物理的パラメータによって任意に決まるものであり,それらは仮想的に決まるものであるというものである."仮想"である限りその軌道に収束する必要はない,このようなことから,本研究の1年目において得られた知見は,「仮想軌道仮説」を理論的にかっ実験的に裏付けるものであると考えている.
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Research Products
(5 results)