2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属超微粒子担時ソリッドイマージョンレンズの作製と機能評価
Project/Area Number |
20860069
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
岸 哲生 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 助教 (90453828)
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Keywords | Solid Immersion Lens / 金微粒子 / エバネッセント光 / 表面プラズモン / 超解像 / 高感度顕微分光 / ガラス融体 / ぬれ性 |
Research Abstract |
本研究は、金属超微粒子担持Solid Immersion Lens(SIL)を作製し、これを用いた微小領域の顕微分光計測を行うことを目的とした。前年度までの研究では、ガラス融液と基板とのぬれ性を利用した超半球型ガラスSIL作製法(StM法:Surface-tension Mold法)を発展させ、SIL底部平坦面(焦点位置)への金超微粒子担持方法を確立した。本年度の研究では、(1)ガラス超半球に担持した金超微粒子の屈折率応答性および(2)金微粒子担持SILの超解像機能の評価を行った。(1)については、金微粒子を担持したガラス超半球底面に各種溶媒を接触させ、光透過スペクトルを計測した。ここでは試料の取り扱いのしやすさを考慮し、直径が1mm程度のガラス超半球を対象とした。金微粒子が示す表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance : SPR)による吸収ピーク波長が溶媒の屈折率に応じてほぼ線形に変化したことから、ガラス超半球底部平坦面に担持した金微粒子はガラス表面近傍(焦点位置)の光学特性変化を高感度に計測できることがわかった。(2)については、Si基板上に形成した単分子膜パターン(厚さ1nm、直径1μm以下の島状構造)を観察対象とし、金微粒子担持SILの分解能および感度を評価した。ここでは、形状誤差によるSILの分解能の低下を防ぐため直径20μmのSILを用いた。作製した金微粒子担持SILを通して基板表面を観察することにより、通常はAFMでしか観察することができない単分子膜パターンを像の明暗として光学的に捉えることに成功した。以上より、StM法により作製した金微粒子担持SILが高感度かつ高分解能な光学顕微鏡用素子として機能することが明らかとなった。これらの成果は、金微粒子担持SILを用いた顕微分光計測の礎として極めて重要な成果であり、これをさらに発展させることで、サブミクロン以下の微小領域における微小な屈折率変化、ラマン散乱や微弱蛍光などの微小な光学応答を検出することが可能になるものと期待される。
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Research Products
(3 results)