2008 Fiscal Year Annual Research Report
エポキシナノコンポジットの優れた誘電特性に与かる樹脂/ナノ粒子界面相互作用の解明
Project/Area Number |
20860073
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
布施 則一 Waseda University, 理工学術院, 助手 (20514219)
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Keywords | 電子・電気材料 / 複合材料・物性 / ナノ材料 / 誘電体物性 / 光物性 |
Research Abstract |
複素誘電率や種々の分光計測よりポリマーナノコンポジット(NC)を評価し、次の成果を得た。 (1)エポキシ/AIO(OH)NCの複素誘電率を調査し、NC化により電荷輸送が促進される傾向を得た。ただし、この現象に大きく影響する樹脂の硬化度が試料間で異なっていることが最近判明したため、現在試料作成手順を見直している。 (2)ポリアミドNCの複素誘電率を調査し、NC化により2種の双極子分極の緩和時間が長くなり、電荷輸送が抑制される結果を得た。ナノフィラーは分子運動を抑制し、電荷輸送を阻害すると考えられる。 (3)ポリアミドNCのTHz分光より、3THz付近の誘電分散がNC化により低周波数側にシフトする結果を得た。上記(2)同様の分子振動抑制が原因と考えられる。2THz付近に観測されるもう1つの誘電分散は、その誘電損率がポリアミドのX線回折強度と正に相関することから、X線回折をもたらすα結晶に由来すると考えられる。 (4)ポリアミド及びポリエチレンNCの真空紫外分光より、NG化は、吸収スペクトル及びベース樹脂由来の発光、励起及び減衰スペクトルを変化させないこと、また新たな発光帯を生じさせないことを明らかにした。NC化しても、少なくとも本研究の測定感度を越える密度以上には発光性電子局在準位は生じないと言える。 (5)ポリプロピレンの誘電率がNC化により上昇する結果を得た。フィラー分散処理剤による極性基導入やヘテロ空間電荷蓄積が原因と考えられる。一方、耐部分放電性は、フィラーによる劣化孔縮小効果や粒子衝撃へのバリア効果の寄与が大きいため、NC化により格段に向上する。 (6)(3)の発展研究として、種々の有機高分子のTHzスペクトルを得た。有極性高分子が2THz付近に誘電損率ピークを示す原因として、水素結合等により減速された大きな双極子モーメントの振動の関与が考えられる。
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Research Products
(13 results)