Research Abstract |
当初の研究計画にしたがって,本課題で明らかになったことを述べる. 1LR-LDPC符号の改良とその理論解析(主な成果は1,4,5) LR-LDPC符号を構成する3つの符号において,それぞれの符号の性能は,疎行列の程度を示す指標である「密度」が決めてであることが判明した.ただし当初の計画とは違い,解析式の中身をさらに解析して性能の差異を明らかにすることは適わなかったが,これらの3つの符号が全て,通常のLDPC符号符号よりも性能が優れていることが性能が向上する条件であることも判明した.また,符号アンサンブルを用いて理論的に性能解析結果からもそのような傾向が明らかになった. 従来の解析では,復号が失敗する停止条件であるストッピングセットを用いて解析しているが,得られる下界の厳密性に問題がある.そこで最小ストッピングセットと呼ばれる,ストッピングセットよりも細かく場合分けして計算できる条件を適用し,よりタイトなバースト消失訂正能力の下界を得ることができた. 2改良したBP復号法の理論的な性能解析(投稿中) BP復号法を改良した2つの復号法を提案した.これらの復号法は,BP復号法で失敗する停止条件を解消しつつ,訂正能力に対し如何なる劣化を伴わずに,より多くの訂正が可能であることを示した. 3非正則LDPC符号への一般化(主な成果は3,4) 本研究で得られた結果は,正則なLDPC符号を対象としており,よりクラスが広く,性能が優れた非正則LDPC符号へ拡張することも行った正則の場合と同様に,「密度」と,非正則LDPC符号の性能を決定付ける重要な要素であるタナーグラフ上における「次数2の変数ノード」が性能を左右されていることが判明した.これらの示唆を生かし,今後の研究成果のさらなる発展が期待される. 引き続き,来年度へ向けて,残された課題について取り組む予定である.
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