2009 Fiscal Year Annual Research Report
多関節構造体に対する共振の拡張とそれに基づく適応型制御法
Project/Area Number |
20860077
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
植村 充典 Ritsumeikan University, 理工学部, 助教 (00512443)
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Keywords | 共振 / 多関節構造体 / ロボット / 適応制御 / 最適制御 / 安定解析 / 非線形 / 剛性調節 |
Research Abstract |
機械システムにおいて、エネルギー効率を向上することは最も基本的な要求のうちの一つである。共振は、機械システムの周期運動のエネルギー効率を最適化するための概念として、200年以上用いられてきた。しかしながら、従来の共振概念は、線形で1自由度の単振動運動を主に取り扱っていた。これに対し、ロボットや人間などの多関節構造体のダイナミクスは、複雑な非線形性を持ち、自由度も複数となる。そこで本研究ではまず、多関節構造体に対して共振概念を理論的に拡張した。本共振概念は、エネルギー解析やハミルトン・ヤコビ・ベルマンの方程式を用いて解析を行うことで、従来の共振を多関節構造体に自然に拡張したものである。このとき、従来の共振概念の重要な点が、拡張した共振概念でも成立することを示した。この重要な点とは、最小のトルクで周期運動を生成する点と、アクチュエータトルクが速度の線形フィードバックとなる点である.この特徴は、物理的意味が明確であるのと同時に、制御則の構築に役に立つ。実際、本件研究ではこの性質を用いることで、複雑な数値計算や制御対象のパラメータを用いない適応型の制御法を構築した。関節剛性を適応的に最適化する制御法においては、制御系の大域的な安定性を証明した。本共振概念や適応型制御法を工学的に応用すれば、高エネルギー効率で人間の歩行を補助するロボットシステムや、産業用ロボットの省エネルギー化に貢献できると考えられる。また、提案共振概念や適応型の制御法の有効性は、製作したロボットシステムを用いて確認した。
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