2009 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧下プラズマを適用したミストCVD法によるZnO薄膜の室温下成長
Project/Area Number |
20860081
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
川原村 敏幸 高知工科大学, ナノデバイス研究所, 助教 (00512021)
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Keywords | ミスト / 薄膜成長 / 薄膜食刻(エッチング) / 装置開発 / 大気圧中プラズマ発生 / 表面反応促進 |
Research Abstract |
最近急速に進展してきた大気圧下でのプラズマ発生技術と、申請者がこれまで行ってきた、平行平板間へ原料ミストガスを導入して成長するFCM-CVD法という薄膜成長手法を組み合わせることで、より低温で高品質な膜を大気圧条件下で作製できる可能性を見出した。そこで本申請では、より低温で効率よく十分に高品質なZnO薄膜を大気圧下で成長させることの出来る手法を開発することを研究目標として申請した。本手法が完成すれば、p型ZnO薄膜の成長や微粒子の大量合成だけでなく、各種アプリケーションに貢献することになるほか、装置事業としての展開や、ZnO薄膜のp型化に努め、それを用いてデバイス化へ発展させるなど、将来展望等が期待できた。 そこで、初年度から、大気圧プラズマとミストCVD法を組み合わせた簡易的な装置を設計・作製したが、大気圧下プラズマを適用したミストCVD法によって効率よく薄膜を成長させる手法の開発には成功しなかった。実験からは,非常に薄い薄膜が確認できたが、装置構造による原因の他に、大気圧プラズマによって、気相中でZn原料が反応を起こしZnO微粒子となってしまい、表面反応が著しく阻害されているためではないかということも考えられた。 そこで、技術の根幹は未だ開発途上であるミストCVD法の原点に返り、反応部におけるミスト原料の反応工程を明確にする必要性があった。ここで、これまでとは発想を転換し、薄膜を成長させるのではなく食刻(エッチング)を行たところ、温度がある程度高くなると飛来した液滴粒子が蒸発を起こし、液滴周りに原料を含んだ蒸気膜を形成し、液滴が直接基板に付着せず、液滴部分が浮遊し、原料成分を含んだガスが基板上の薄膜と反応している事が判明した。 この成果に関して、学会で発表している他、装置及び方法特許として提出した。また、現在この現象について論文をまとめている他、更に詳しく検証し、ミストCVD法の技術の根幹の明確化を行っている。
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