2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20860091
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
野際 公宏 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (80465989)
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Keywords | 酸化物分散強化型鋼 / 3次元アトムプローブ / 超短パルスレーザー |
Research Abstract |
透過電子顕微鏡(TEM)による観察とレーザー駆動3次元アトムプローブ(3DAP)による分析法を併用し、酸化物分散強化(ODS)鋼中の酸化物粒子の分散状況および構造評価により、強化機構の解明を行うことを目的とする。 本年度はまずレーザー駆動3DAPにおけるレーザー照射条件の最適化を行うと共に、測定領域の相の判別方法についての検討を行った。特に高速増殖炉用に実用化研究が進められているODS鋼は、マルテンサイト(α')相と残留フェライト(δ)相の2相鋼であるが、残留フェライト相の体積率が大きいほど高温強度特性が高いことが明らかとなっている。しかしながら、ODS鋼が持つ強い磁性や内部ひずみのため、各相における酸化物粒子の分散状況の定量評価は通常のTEM観察では困難であった。本研究では、各相に含まれるクロム濃度が異なることに着目し、レーザー補助3DAPにより得られた分析結果について、クロム濃度により測定領域の相の判別が可能であることを確認した。これにより各相における酸化物粒子の分散状況およびその組成構造などの情報を定量的に得ることが可能となった。実際に、酸化物粒子の数密度はα'相よりもδ相の方が4倍ほど高く、ODS鋼の高温強度がδ相における酸化物粒子の高密度分散に起因している事が明らかとなった。来年度は、既に整備済みの「TEM-3DAP(3次元アトムプローブ)共用試料ホルダー」を用いて、種々の製造条件で作製したODS鋼の分析評価を実施し、酸化物粒子の素性と分散状況から、ODS鋼における粒子硬化機構の定量的解明を行う。
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Research Products
(2 results)