2008 Fiscal Year Annual Research Report
核燃焼プラズマにおける径方向電流トルクが駆動する回転の多流体輸送シミュレーション
Project/Area Number |
20860092
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
本多 充 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 博士研究員 (90455296)
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Keywords | プラズマ回転 / 輸送シミュレーション / 径方向電流トルク / 中性粒子ビーム / 二流体方程式 / トカマク |
Research Abstract |
プラズマの回転はプラズマの閉じ込め劣化を防ぐために重要な役割を果たしている事が実験や理論からわかってきており、回転速度がどのように決まるかが重要な問題となっている。JT-60などの装置ではプラズマに対してほぼ垂直に中性粒子ビーム(NB)入射した際に、衝突減速機構によるトルク入力がほとんど無いなかでプラズマ回転が観測されており、電子とイオンの軌道幅の差から生じる径方向電流トルクに依るものと考えられている。そこで、NBを粒子軌道追跡コードOFMCの計算結果を元にモデル化し、研究代表者が開発した1次元多流体トカマク輸送コードTASK/TXと組み合わせる事でシミュレーションを行い、物理機構の調査と定量的な回転速度の評価を行った。 プラズマ電流の向きと同方向の垂直NBのポロイダル入射角のみを変化させると、水平方向からの入射が最もトロイダル回転を駆動している事がわかった。解析的評価から径方向電流トルクは高速粒子の軌道幅に比例していることがわかるため、最も軌道幅が狭くなる水平入射が最も回転を駆動するとは考えられていなかった。軌道追跡コードによって粒子軌道を描画させることで、ポロイダル入射角を増していくと確かに軌道幅は増えていくが、電子の位置(電離した位置)を挟んで高速イオンは内側にも外側にも移動するようになるため、内側にしか移動しない水平入射の場合と比較すると内側移動の効果が外側移動によってある程度相殺され、トルクが減少している事を突き止めた。径方向電流トルクを評価する際には、軌道幅だけでなく高速粒子が電離した位置と粒子軌道も考慮に入れなければならないことがわかった。この知見は、NBによる回転駆動を定量的に評価に繋がるだけでなく、回転駆動を最大化するNB設置の検討にも活かせる。 径方向電流トルクの性質はプラズマ電流に対して順方向と逆方向のNBIで異なるため、次年度では逆方向についても調べる。
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