2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20870003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉山 梨恵 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 研究員 (10503899)
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Keywords | 分裂酵母 / テロメア |
Research Abstract |
染色体は、複製、分配、遺伝子発現など多くの現象のなかで、その高次構造をダイナミックに変化させている。これまでに、染色体高次構造が遺伝子発現を制御していることや、染色体高次構造形成にRNAが関与していることを示唆する報告はあるものの、詳細な分子機構については明らかにされていない。本研究では、分裂酵母を用いて、染色体高次構造の1つであるテロメア領域同士の対合(テロメアクラスタリング)に着目し、体細胞分裂間期におけるテロメアクラスタリングの分子機構の解析を通して、染色体高次構造形成のメカニズムおよび染色体機能における高次構造形成の生理的な重要性を解明することを目的とする。我々は、テロメアクラスタリングに関与する因子を単離するための遺伝学スクリーニング系を確立し、テロメアクラスタリングに関与すると思われる候補因子をいくつか単離した。本研究で実施したスクリーニング系は、破壊された遺伝子を容易に同定できるよう工夫されたストラテジーを用いているため、これまでのスクリーニング系よりも比較的短期間で、単離したテロメアクラスタリング関連候補因子を効率良く同定できると思われる。本研究で単離された遺伝子が高等動物まで高度に保存されていた場合、高等動物においてこれまで不明であった、高次構造形成による遺伝子発現制御のメカニズム解明につながることが期待される。また、遺伝子発現制御の破綻は癌などの重篤な疾患の発症原因にもなるため、本研究のスクリーニングで単離された因子が高度に保存されていた場合は、新たな疾患治療の夕ーゲットになりうることが期待される。
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