2009 Fiscal Year Annual Research Report
棘皮動物ゲノムにおけるToll-like receptor多重遺伝子族の分子進化
Project/Area Number |
20870007
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
日比野 拓 Saitama University, 教育学部, 准教授 (60513835)
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Keywords | Toll-like receptor / ウニ / 棘皮動物 / 自然免疫 / トリノアシ |
Research Abstract |
ウニのゲノム上には222種類のTLR(Toll-like receptor)が多重遺伝子族を形成しており、脊椎動物のTLRとは大きく異なっている。本助成ではTLR多重遺伝子族の形成過程を調べる目的で、棘皮動物でもっとも原始的である有柄ウミユリ類トリノアシのゲノムを解析し、TLR多重遺伝子族形成の起源を調べることと、TLR多重遺伝子族と関連性をもつ遺伝子群の探索を行った。 トリノアシからCTAB法により精子ゲノムDNAを精製し、これを鋳型とした。ウニ・ナメクジウオTLRの細胞内ドメインTIRアミノ酸配列を参考に、Degenerate primer(forward primer10種類、reverse primer6種類)を作成し、PCRを行った。得られたDNA断片をクローニングした14サンプルの塩基配列を決定し、相同性検索を行ったが、TLRと相同な配列は得られなかった。この結果から、Degenerate PCRを元にした手法では限界があり、トリノアシゲノムの全塩基配列を決定後にコンピュータを用いてTLRを探索する方法がもっとも有効であると考えられた。 脊椎動物TLRの細胞内シグナル分子であるSarmやMyD88は、TLR同様にTIRドメインをもつ。ウニゲノムには、オーソロガスなSarmやMyD88と、オーソロガスではないSarm-likeやMyD88-likeが存在することを発見した。このSarm-likeとMyD88-likeは、TLR多重遺伝子族をもつナメクジウオやゴカイといった海産無脊椎動物のみが保有し、TLR多重遺伝子族形成とSarm-likeとMyD88-likeの出現には関連性があることが示唆された。
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Research Products
(6 results)