2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20870010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石北 央 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (00508111)
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Keywords | 生物物理 / 蛋白質 / 酵素反応 / 生体生命情報学 / コンピューターシミュレーション / 計算化学 |
Research Abstract |
本研究では、光受容体flavin蛋白質であるBLUF (blue light sensing using FAD, FAD: flavin adenine dinucleotide)の光反応機構の解明に関する研究を主に行った。BLUFは、青色光に反応し、光合成に関連する遺伝子発現を調節している。その中心反応部位にflavinと蛋白質由来の酸化還元活性tyrosine残基を持ち、他の光受容体蛋白質(例:rhodopsin, phytochrome, xanthopsin)とは独立した蛋白質ファミリーを形成している。BLUFの光活性化反応の本質は、flavin近傍に存在するGlnのアミノ酸側鎖中の-C=0基と-NH_2基の位置が光照射によってC_δ-C_γ軸に対して180度回転(反転)することである。これにより、Gln-flavin間相互作用が変化し、10nmほど吸収スペクトルがred shift (red-shift signaling state)する。BLUFに関する重要な議論の対象は、flavin周辺のX線結晶構造解析の結果が、解析を行った研究グループ毎に大きく異なることである。Andersonらの構造(Anderson et al. Biochemistry 44 (2005) 7998)とJungらの構造(Jung et al. J. Mol. Biol. 362 (2006) 717, Jung et al. PNAS 102 (2005) 12350)では、dark stateとlight stateのconformerの帰属が正反対である。本研究の結果、Andersonらのlight stateの構造の方が電子移動の駆動力が十分に大きく、妥当であることが立証された。また、Andersonらの構造ではflavinに水素結合を形成できる距離にTrp104が存在するのに対し、Jungらの構造ではTrp104はflavinから十分に離れたところに存在する。本研究の結果、Trp104の位置に関してもAndersonらの構造の方でないと、反応中に起こるlight/dark stateの切り替えをうまく説明できなことが示された。
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Research Products
(3 results)