2008 Fiscal Year Annual Research Report
高等動物における新規の減数分裂特異的染色体分配因子の解析
Project/Area Number |
20870011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石黒 啓一郎 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30508114)
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Keywords | 減数分裂 / 染色体分配 / 生殖細胞 / 細胞分裂 / 染色体 |
Research Abstract |
マウス精巣からセメントロメアタンパク質CENP-Cに対する抗体を用いたaffinity精製により減数分裂期セントロメアタンパク複合体の同定をおこなった。LC-MS/MS解析の結果、既知のキネトコア構成タンパク質群に加えて、生殖細胞特異的に発現する新規タンパク質4930404A10Rikを同定するに至った。免疫蛍光染色法による検討の結果、4930404A10Rikタンパク質は、減数分裂のPachytene期からMetaphae Iにかけて相同染色体の動原体に局在することが判明した。さらに精製4930404A10Rikタンパク質複合体のLC-MS/MS解析による検討の結果から4930404A10RikとPolo like kinase1 (PLK1)との相互作用が示唆されている。免疫蛍光染色法による検討の結果、PLK1はDiplotene期からMetaphase Iにかけてキネトコアに局在すること、さらにCDK阻害剤Roscovitineを用いた解析からは、Cyclin dependent kinase (CDK)による4930404A10Rikのリン酸化とそれを介してのPLK1の結合が示唆されている。減数第一分裂の際に2つの姉妹動原体は束ねられて1つに融合した構造として振る舞うことが知られているが、4930404A10Rikタンパク質はPLK1を引寄せて還元分配に向けた相同染色体のキネトコア構造変換に関与しているのではないかと推測された。現在生殖細胞でのin vivo解析を目指して、理化学研究所CDBとの共同研究により4930404A10Rik遺伝子の欠損マウスの作製に着手している。減数分裂時の染色体分配エラーによって生じる染色体数異常は早期流産やダウン症などの疾患をもたらすことが知られているが、その分子機構の解明は基礎生物学のみならず生殖医療面においても重要である。
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Research Products
(3 results)