2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖細胞におけるナノス2結合タンパク質の同定と機能解析
Project/Area Number |
20870016
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 敦 Yokohama National University, 学際プロジェクト研究センター, 特任教員助教 (60467058)
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Keywords | 生殖細胞 / RNA / 発生 / マウス |
Research Abstract |
マウスの生殖細胞は胚体外で少数の細胞集団として形成される。その後、増殖しながら移動し、将来の生殖巣へと到達する。移動期の生殖細胞は卵母細胞にも精母細胞にも分化する能力を持つが、生殖巣に到達すると体細胞側の性に従って分化を開始する。すなわち、雌においては減数分裂を開始するのに対して、雄においては細胞周期が停止する。Nanos2は生殖巣に到達した雄性生殖細胞に特異的に発現するRNA結合蛋白質であり、生殖細胞の性分化を制御する。すなわち、Nanos2が発現することによって生殖細胞中の雌のプログラムが抑制され、一方で雄のプログラムが働いて生殖細胞が雄性化する。そこで、その分子機構を明らかにするために、まず、Nanos2の細胞内局在を解析したところ、Processing body(P-body)と呼ばれるRNAを分解する細胞内小器官に局在していることが明らかになった。また、Nanos2に結合する因子を免疫沈降と質量分析法によって解析したところDeadenylation complexが同定された。このことから、Nanos2は特定のmRNA上にDeadenylation complexをリクルートすることでそのRNAの分解を促進し、そうすることで生殖細胞の雌性化を抑制することが強く示唆された。しかしながら、Nanos2自体はRNAと非特異的に結合するために、mRNA結合特異性を決定するメカニズムは未だに不明である。そこで、雄の生殖巣抽出液を用いて、免疫沈降と質量分析法によるNanos2結合蛋白質の同定をさらに詳細に行った。その結果、21個のRNA依存的、14個のRNA非依存的なNanos2結合蛋白質を新たに同定することに成功した。この中にNanos2の結合特異性を決定する因子が存在する可能性が高く、生殖細胞の雌雄分化のメカニズムを解明する上で重要な知見を得られると考えている。
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Research Products
(3 results)