2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質デザインによる自己組織化ナノ繊維形成過程の解明
Project/Area Number |
20870043
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
真壁 幸樹 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教 (20508072)
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Keywords | 蛋白質デザイン / βシート / アミロイド / フォールディング / 生物物理 |
Research Abstract |
本研究では、蛋白質デザインに基づいた、ペプチドの自己組織化を模倣した球状蛋白質(Peptide Self-Asaembly Mimica ; PSAM)を用いて、アミロイドなどポリペプチドの自己組織化によって生成するナノ繊維の形成過程を明らかにすることを目指している。21年度では20年度に引き続き、OspAのフォールディング測定を進めた。巻き戻り過程における詳細なトリプトファン蛍光変化の解析から、蛍光変化に先立って蛍光変化の無い遅延相が存在することを確認した。トリプトファン残基はC末端ドメインに存在し、天然状態の形成によってのみ蛍光変化が観察されると考えられるので、この遅延相の観察は巻き戻り反応過程における経路上中間体の形成によるものと結論した。蛍光の時間変化によって得られた二つの速度定数は円偏光二色性を用いた測定結果と一致した。さらに、N末端ドメインの形成を追跡するためにN末端ドメインにトリプトファン残基を導入した変異体を構築し、X線結晶構造の決定に成功した(分解能1.86Å)。得られた構造から、トリプトファンへの変異導入は蛋白質構造にほとんど影響を与えていないことを明らかにした。我々は最近、クロスβ構造をPSAM中にモデル化することに成功した。これはPSAMの界面をフェニルアラニン・ロイシンの繰り返しに変異することで二量体化を誘導するものである。この二量体化を誘導するのに必要な最小の変異を明らかにするために、フェニルアラニン繰り返し部位に対してアラニンスキャニングを行った。この結果、一つの芳香族残基あれば二量体化が誘導されることを見いだした。
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