2009 Fiscal Year Annual Research Report
水利施設基礎地盤における浸透破壊メカニズムの解明と数値計算による予測手法の開発
Project/Area Number |
20880009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡島 賢治 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90466805)
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Keywords | 浸透破壊 / Boiling / 弾塑性有限要素法 / 頭首工基礎 / 砂質土 / Piping |
Research Abstract |
本研究は、頭首工やダム堤体の基礎地盤における浸透破壊問題を研究対象とした。現在、浸透破壊の予測に用いられているクリープ理論は、1920年代から用いられているが、不確実な点が多く、高い安全率によって設計の信頼を得ているところが大きい。本研究は、現状のクリープ理論の問題点の把握と、土の特性を考慮した最新の数値解析手法を用いた解析による浸透破壊メカニズムの解明、及び水利施設施工において有益な実務上利用しうる解析手法の提案まで念頭においた研究を行った。 本研究は小型の模型実験を用いて、模型堰の底面に止水壁を考慮せず平面とした実験と止水壁を考慮した実験を行った。その結果、同一の浸透路長を持つ実験において、模型堰の形状や止水壁の位置によって、破壊水頭差が異なる結果が得られた。これは、現状の設計基準に用いられているクリープ理論では説明ができない現象であることを明らかにした。 つぎに、本研究では浸透破壊問題に対して、有限要素法による浸透流解析と弾塑性有限要素解析による破壊解析の2段階の数値解析手法を開発した。前述の模型実験の結果を用いて開発した有限要素解析手法の有効性の検証を行った。この結果、土の特性を考慮した弾塑性有限要素解析手法の有効性が示された。また、弾塑性有限要素法による破壊解析の結果、その破壊メカニズムが、Terzaghiが止水矢板において提案した破壊水頭差の計算手法の土塊形状と似ていることを明らかにした。 以上の結果をもとに、Terzaghiの方法を堰基礎の浸透破壊に適用する手法の検討を行った。その結果、堰本体の根入深さを基に土塊を設定することで堰基礎の破壊水頭差を精度よく予測することが可能であることを明らかにした。この手法は、現行のクリープ理論よりも精度の良い破壊水頭差の予測が可能であり、止水矢板において現状用いられている手法の応用であるため導入が容易である。
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