2008 Fiscal Year Annual Research Report
農業害虫アザミウマの脱皮・変態の分子機構解明および創農薬への応用
Project/Area Number |
20880015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水口 智江可 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 助教 (90509134)
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Keywords | 昆虫 / 害虫防除 / 幼若ホルモン / アザミウマ |
Research Abstract |
アザミウマ目に属する昆虫種(以下アザミウマと省略)の多くは世界的な農業害虫であり、野菜や果実などを食害すると同時に植物ウイルスを媒介し、農作物に深刻な被害をもたらしている。アザミウマは、蛹の過程を経ずに幼虫が成虫へと変態する「不完全変態昆虫」として分類されているものの、成虫になる前にほとんど動かない「蛹のような時期」が存在し、この期間に幼虫組織の崩壊と成虫組織の形成が起こる。これは他のどの昆虫種とも異なったユニークな変態様式であるが、これがホルモンによってどのように制御されているかは不明である。そこでアザミウマにおける新たな創農薬ターゲット発見の基礎研究として、アザミウマに特異的な脱皮・変態様式の分子機構を解明することを目的として研究に着手した。本年度は脱皮・変態を制御する幼若ホルモン(JH)に注目し、そのシグナル伝達に関与する候補遺伝子のcDNAクローニングを行った。まず、他種昆虫で蛹特異的な転写因子として知られているbroad-complexのcDNAクローニングを行い、選択的スプライシングによって生じる複数のアイソフォームの存在を明らかにした。アザミウマの成長に伴う、broad-complex転写量の変動を調べたところ、完全変態昆虫で報告されている発現時期とは異なっていることがわかった。また、完全変態昆虫でJHシグナル伝達の鍵遺伝子として知られているKruppel homolog 1(Kr-h1)のcDNAクローニングを行い、不完全変態昆虫にもKr-h1の相同遺伝子が存在することを初めて見いだした。
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Research Products
(1 results)