2009 Fiscal Year Annual Research Report
越流・パイピングを考慮した水利土質構造物の総合的機能評価手法の構築
Project/Area Number |
20880017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤澤 和謙 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 助教 (30510218)
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Keywords | 機能診断 / 侵食 / 越流 / パイピング / 堤体 |
Research Abstract |
近年、異常気象に起因する豪雨によってため池や堤防などの土構造物が崩壊し、流域環境、農村、農業生産に甚大な被害を与えている。決壊原因の多くは越流による堤体表面の侵食及びパイピングなどの堤体内部の侵食である。現在、ため池や堤防などの土構造物のストックマネジメントは重要な社会的要請であり、本研究もこれに貢献することを全体的な課題と位置づける。その全体的課題に向けた本研究の具体的な目的は、フィルダム、ため池、堤防を中心とした土構造物のストックマネジメントのために、構造物の変形に関する安定性だけでなく、侵食も考慮した総合的な機能評価手法を開発することである。得られた研究成果を以下にまとめる。 1. パイピング等の浸透流による土粒子侵食を解析する手法を開発した。本解析手法によってこれまで解析することが困難であったパイピングの時間発展を支配方程式の初期値境界値問題として数値的に解析すことが可能となった。 2. 堤体材料としてよく用いられる細粒分を含んだ砂質土を対象にして表面侵食試験装置を自作し、実験を行った。それにより、粘土・砂混同土の表面侵食特性が明らかとなった。本実験で用いた試験装置は供試体可動式の開水路による侵食試験装置であり,新しい試験データを提供した. 3. 侵食特性(侵食速度)を把握した材料を用いて、越流破堤実験を行った.これまで越流破堤に至る時間を予測する方法はなかったが、本実験の結果と理論的な考察により、材料の侵食速度と越流量を把握することで越流破堤到達時間を推定することが可能となった。 現在、リスク解析と組み合わせることで堤体の総合的機能診断を実行中である。
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