2009 Fiscal Year Annual Research Report
非水系酵素反応による糖鎖/カーボンナノチューブ複合体の創成
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20880021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 由紀子 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特任助教 (80507848)
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Keywords | 糖鎖 / カーボンナノチューブ / 超分子構造 / 両親媒性糖誘導体 / 蛍光レクチンアッセイ / 糖鎖修飾カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は優れた電気・熱特性を有している。最近では生体適合性を有することからバイオ分野でも注目される素材である。しかしながら、CNTは比表面積が非常に大きく凝集しやすいことから単一分散させることが困難である。また、バイオ応用を考慮すると生体毒性をもつ有機溶剤を使用せず水系での分散が望まれる。 そこで、本年度は前年度に合成した、水溶液中でCNTを分散可能であった両親媒性の糖誘導体について、糖鎖種類と結合様式の異なる化合物を合成し、糖鎖構造がCNT分散に及ぼす影響について検討した。その結果、 (1) 両親媒性糖鎖誘導体は疎水基にアゾベンゼン、親水性の糖鎖部位にオリゴ糖(グルコース、セロビオース、メリビオース、ラクトース、マルトース)の開環ラクトン体を有し、いずれも二段階の合成を経て高収率で得られた。グルコース誘導体以外は水もしくは熱水に易溶であったので、これらをCNT分散試験に供した。 (2) 糖鎖誘導体1%水溶液にCNTを分散し(0.5mg/ml)、10時間超音波を照射した。溶液を遠心し上清のVis-NIR測定をした結果、CNTの分散度合いはマルトース>セロビオース>ラクトース>メリビオース誘導体の順であった。特にマルトース誘導体は、水系でのCNT分散剤であるカルボキシメチルセルロースやドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液より良好な分散を示した。 (3) マルトース誘導体で分散したCNT溶液をPTFE膜上に吸引濾過してフィルムを形成した。純水で洗浄後にFITCラベルしたコンカナバリンAを作用させ、蛍光顕微鏡で観察したところ、SDS分散によるフィルムより強い蛍光を示し、さらにFITC-ラベルRCA120を作用させたところ蛍光は観察されなかった。すなわち、本研究で合成したマルトース誘導体によりCNTの水系での分散と表面がグルコース修飾された糖-CNT複合体の形成が可能となった。
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Research Products
(7 results)