2008 Fiscal Year Annual Research Report
有毒アオコの八郎湖データベースの構築とリスク予測手法への応用に関する研究
Project/Area Number |
20880023
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
岡野 邦宏 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 助教 (30455927)
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Keywords | 有毒アオコ / microcystin / 遺伝子 / 分子系統解析 / リスク予測 / 環境分析 / 藍藻類 / 分類学 |
Research Abstract |
秋田県八郎潟残存湖(八郎湖)は、その富栄養化の進行とアオコの発生などから平成19年12月より湖沼法の指定を受け、その水質改善対策が急務となっている。アオコを形成するMicrocystis属などはmicrocystinという極めて強力な毒素を産生することから、その発生は八郎湖汚濁における県民および近隣住民の最大の懸念となっている。また、湖水が農業用水に使用されていることや流入河川の末端付近に上水施設があることを鑑みてもその改善やリスク予測は焦眉の課題といえる。しかしながら、それらアオコやmicrocystinに関連する一貫したデータの蓄積は進んでおらず、周辺住民が求める『リスク予測』に必要な知見は不足しているのが現状である。 そこで、本年度は八郎湖を対象湖沼としてmicrocystinの産生量(濃度)について実態調査を行うとともに、八郎湖におけるmicrocystin産生藍藻類およびアオコ形成藻類のデータベース=『八郎湖データベース』の構築を目的とした分子系統解析とmicrocystin合成酵素遺伝子(mcy)の検出を試みた。 その結果、八郎湖の各地点において8月以降に高濃度のmicrocystinが検出され、アオコが高濃度に集積した地点では一時期その濃度がmicrocystin RR:364.3μg/L、YR:87、5μg/L、LR:320.0μg/Lであった。また、分子系統解析の結果、7月から8月にかけて藍藻類はAnabaena属からMicrocystis属に変遷していることが分かった。この結果は、顕微鏡観察の結果とも一致した。一方、microcystinの産生に必須であるmcy遺伝子を検出した結果、mcy遺伝子を保存する有毒株は、Microcystis属が優占した8月以降のサンプルにおいて観察された。このことから、八郎湖の有毒アオコはMicrocystis属が主となっていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)