2009 Fiscal Year Annual Research Report
有毒アオコの八郎湖データベースの構築とリスク予測手法への応用に関する研究
Project/Area Number |
20880023
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
岡野 邦宏 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 助教 (30455927)
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Keywords | 有毒アオコ / microcystin / 遺伝子 / 分子系統解析 / リスク予測 / 環境分析 / 藍藻類 / 分類学 |
Research Abstract |
秋田県八郎潟残存湖(八郎湖)は、その富栄養化の進行とアオコの発生などから平成19年12月より湖沼法の指定を受け、その水質改善対策が急務となっている。アオコを形成するMicrocystis属などはmicrocystinという極めて強力な毒素を産生することから、その発生は八郎湖汚濁における県民および近隣住民の最大の懸念となっている。また、湖水が農業用水に使用されそいることや流入河川の末端付近に上水施設があることを鑑みてもその改善やリスク予測は焦眉の課題といえる。しかしながら、それらアオコやmicrocystinに関連する一貫したデータの蓄積は進んでおらず、周辺住民が求める『リスク予測』に必要な知見は不足しているのが現状である。 そこで、本年度は平成20年度に引き続きデータの蓄積が不十分であったアオコ毒microcystinの発生量(濃度)について実態調査を行うとともに、『有毒藍藻の分類にmcy遺伝子群を使用する』という画期的な着想に基づき、mcy遺伝子群に着目した分子系統マーカー(遺伝子)により、八郎湖から単藻化した有毒藍藻の毒性などに関するデータを収集した。その結果、本年度はアオコ発生が少なく、microcystin濃度はアオコが発生した地点でmicrocystin RR:3.6μg/L、YR:3.9μg/L、LR:1.1μg/Lであった。また、平成20年度はアオコ集積サンプルのDNAに対して16S rRNA遺伝子領域の解析を行ったが、Anabaena属が優占しているサンプルのmcy遺伝子を解析した結果、全てMicrocystis属近縁であり八郎湖の有毒アオコがMicrocystis属であるという昨年度の仮説を支持する結果となった。加えて、単藻化したAnabaena属からmcy遺伝子が検出されなかったことから、八郎湖の有毒株はMicrocystis属であることが強く示唆された。
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