2009 Fiscal Year Annual Research Report
犬の脊髄損傷症例に対する嗅神経鞘細胞(OECs)移植による脊髄再生療法の臨床治験
Project/Area Number |
20880027
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 大介 Nihon University, 生物資源科学部, 助手 (40508694)
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Keywords | 脊髄損傷 / 鼻粘膜 / 脊髄再生 / OEG / 椎間板ヘルニア |
Research Abstract |
本研究では犬における自然発症の脊髄損傷症例に対する嗅粘膜由来嗅神経鞘細胞(OECs)自家移植療法のphase I(安全性評価)そしてphase II(有用性の評価)trialを目的とし、OECs移植による脊髄再生療法の臨床治験を試みた。しかしながら適応症例との遭遇機会が少なく、また現状の嗅粘膜採取方法では前頭洞部位における開頭手術の実施が必要であり侵襲性が高いため、美容的観点からも飼い主の同意を得にくかったため、実際に臨床応用を実施することが困難であった。したがって採取法の問題点を解決するために内視鏡による経鼻腔嗅粘膜採取法の検討を実施した。安楽死犬(本研究とは関係なく安楽死処置がとられた犬)の鼻腔より内視鏡を挿入し、(1)内視鏡下で嗅粘膜を認識可能かどうか、(2)バイオプシーにより嗅粘膜を採取可能かどうか、(3)バイオプシーにて採取した粘膜中に、組織学的にOECsが存在しているかどうか、そして(4)採取した粘膜からOECsを培養し、精製可能かどうかを検討した。結果、9頭の犬で実施し、全ての犬において内視鏡下で嗅粘膜の存在を確認することが可能であった。またバイオプシーにて採取した粘膜中にOECsが存在することが免疫染色(p75,S100)によって判明し、さらに採取した組織を培養・精製することによって移植に必要なおよそ5×10^6個のOECsを獲得することが可能であった。以上の結果より、嗅粘膜の採取が従来のように侵襲性の高い開頭術ではなく、内視鏡を用いて鼻腔から採取できることが判明した。したがってこの方法を用いることで飼い主からの同意を得やすくなることが予想され、今後、臨床応用を実施できる症例が増加すると考えられる。
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